各建築士の紹介ページで記載されている内容を、フリーワードで検索いただけます。
直接建築士へ依頼や聞きたい事などを入れて「Search」ボタンを押してください。
※and検索、or検索はできません。ワンワードで検索ください。
大西憲司設計工房 オオニシケンジセッケイコウボウ |
大西憲司 大西憲司 |
||
オオニシケンジセッケイコウボウ | 大西憲司 |
住まいにとって大切なのは、利便性や快適性だけではありません。たとえば周辺の風景や庭に植えられた緑、部屋に射し込む光、そこを通り抜ける風といったものが、心地よい豊かな空間をつくっていきます。
わたしたちは、そのような周辺の環境や場の持っている力を読み取りつつ、ご家族のライフスタイルにふさわしい、個性的な住まいを創造することを目指しています。
住まいは家族の絆を育む大切な器です。家族の夢や思いをじっくり時間をかけて語り合い、価値観を共有しながら、いきいきと楽しく生活できる住まいを作っていきましょう。
飾磨の家
敷地は姫路城の南にある住宅地に位置する。北側・東側を道路に接し、南側に隣家が迫っているため、開放されている北側角地に植栽スペースと玄関アプローチを配置し、東側道路沿いに車2台と駐輪のオープンな車庫を設けた。
パースペクティブになった玄関を入ると、正面に中庭の緑が目に入る。その奥に、中庭に面した主寝室を設けた。2階には、中庭を中心に東側にリビング、西側にキッチン・ダイニングを配置した。垂木現しの切妻屋根に覆われたリビングは、角地に面して設けた植栽やデッキテラスを介して、北側の優しい光とともに街並みへとつながっていく。
また西側ダイニングについては、天井をロフト書斎へとつながっていく勾配天井とすることで、南側ハイサイドから風とともに光がその白い天井をなめるようにやわらかく充満し、気持のよい空間となっている。
領域ごとのスケールの違う変化のある天井が、中庭の緑や光や風と一体となり、「抜け」によって拡がりを感じられる空間―家族それぞれが、楽しみながら居場所を求めることができる住まいである。
桑津の家
大阪市南部の住宅密集地に建つ、3世代5人家族の住宅である。周辺は住宅やマンション、ビルが混在する、どこにでもある都市的な環境の中にある。3方を隣家に囲まれ、唯一開かれた南側も、道路を挟んで4階建のマンションが建つ。
建主の主な要望は、奥さんの長年の夢であったコンクリート打放しの住居、向かい側にあるマンションからのプライバシーとセキュリティーの確保などであった。
南北に細長い敷地の特徴を生かして、キュービックなコンクリートの箱を挿入し、街との関わりを持たせながら外に対して閉じる。一方で、建物の中に3つの性格の異なる庭をつくり、室内に取り込む計画とした。
1・2階はプライベートな室とし、プランの中心に独立したEVを設け、両側に中庭、吹抜を配した。1階の南側に離れ的な客室となる和室を、中庭を挟んで北側に主寝室を配置した。それぞれの部屋では、中庭や南庭から採光と通風が得られ、また庭の風景も楽しむことができる。3階では、南側に配置したリビング・ダイニングの天井を高く、中央のキッチンの天井を低く設定し、空間にめりはりを与えた。視線を遮るために設けたキャンティレバーのコンクリート壁で囲まれた小さなテラスは、折れ戸を全開すると、内外が一体となり、広がりのある空間となる。外部から覗かれることなく明るさを確保するために設けた4周ガラス張りのハイサイドテラスにより、鉄骨造の屋根が軽やかに浮遊し、家族をやさしく包み込む。
家族が新たな刺激と豊かさを感じ、四季の風景を楽しみながら暮らせる、高密度な地域に建つ都市型住宅の提案である。
御領の家
敷地を大阪府東部に位置し、東に生駒の峰を望む古い集落の一角にある。かつては田畑が一面に広がった水郷地帯であったが、ここにも都市化の波が押し寄せている。縦横に走っていた水路が道路に、田畑が宅地や工業地に変わり、のどかで美しい水郷集落の風景が失われつつある。敷地は幸運にも埋立てられずに残った水路に面していて、木の橋が架かり、段倉や農作物の運搬に利用した田船が浮かび、昔の面影を残している。この地域の美しい貴重な歴史的財産を守り、継承してゆくことが大きなテーマとなった。
敷地には120年近く前に建てられた、母屋と長屋門・蔵・納戸が残っていたが、老朽化したことと現代の生活に使いづらいこともあり建て替えることになった。計画は周辺の景観を考慮して長屋門・蔵はそのままに残し、改修して再生することにした。
建物は外観を蔵のデザインに合わせ、1階をRC造による外断熱工法の焼スギ板張り、2階を伝統工法による漆喰塗りにして全体の構成を統一した。建主の要望としては、モダンな家は好きだが周辺の環境などを考えて和風の家に、将来は2世帯住宅に、法事・客室などに使う続き間の和室、などが挙げられた。建物の配置は敷地周囲に目板瓦で葺いた焼スギ板の塀を巡らせ、塀と建物の間に、東庭・西庭・中庭を配して、内部からの狭さを感じさせないようにした。1階は南庭に面して続き間の和室、東庭側に母親の部屋・洗面・浴室などを、西庭側に建主の部屋とし、それぞれの部屋からの眺めと採光・通風を確保した。2階は居間・茶の間・食堂を南庭に向け、屋根裏を現した大きなゆったりとした一室空間にした。南庭の木々や周辺の美しい景色を借景にして、これまでの住まいでは体験できなかった緑や光や風などを、肌で感じられる居心地のよい空間になることを意図した。高齢になる母親はこの家に生まれ育ち、現在も元気に生活されており、旧家の大黒柱や梁や欄間などの古材の一部を使用し、長年住み続けた記憶の再生を試みている。時間の経過と共に周辺環境に溶け込み、より美しい水郷環境になることを願う。
大西憲司 | 大西憲司設計工房 | ||
06-6292-0688 | 06-6292-0689 | ||
info@ohnishi-net.com | 大阪府北区豊崎三丁目十五番四号 | ||
http://ohnishi-net.com/ | 1998年 |