プロフィール
きっかけ
転勤で4月より大阪勤務が決まった浪花さん一家。広さんはもともと大阪出身で、現在広さんの実家には広さんのお母さんのシズカさんが一人で暮らしています。大阪に戻るにあたりいろいろ話し合った結果、広さんの実家にみんなで暮らすことに決めましたが、家族みんなが快適に暮らすことを考えると、今のままでは難しいという問題が発覚。また、40年以上経過した木造住宅であるので、耐震のことも気になります。
建て替えるか、リフォームするか
「リフォーム」にするか、「建て替え」か、専門家の意見を聞こうと「建築士による無料住宅相談」に相談を依頼しました。担当はJ一級建築士事務所を主宰する一級建築士の実直堅(じっちょく かたし)さんで、「リフォーム」した場合と「新築」した場合のメリットとデメリットを比較しながら細かく説明してくれました。さらに実際に家を見たうえで、家族の事情も踏まえて検討したほうがよいと思うというアドバイスがあり、現地に来ていただくのは有料(日当+交通費)でしたが、お願いすることにしました。
設計を依頼
浪速家を訪れた実直さんからのアドバイスにより、建物の耐震診断調査をしてもらったところ、地盤がきわめて良くない、木材の腐朽が激しいことなどがわかりました。そして「リフォームが厳しいので建て替えされてはどうか」という実直さんの意見を参考に、建て替えることに決めた浪花さん一家です。家が完成するまでは賃貸マンションで暮らします。設計は、実直さんが信頼できると感じて実直さんと「設計・監理業務委託契約」を交わしました。その際に契約内容に関する説明とともに「重要事項説明書」の提出がありました。
設計準備
最初に実直さんから家族全員にヒヤリングが行われました。
どのような家に暮らしたいかということだけでなく、起床時間や就寝時間、休日の過ごし方や趣味や好きなものなど、聞かれた内容はいろいろでした。家族みんなで考えて答えてくださいという質問もあって、そのために初めて家族会議を開きました。同時に実直さんは役所を廻り、敷地に課せられた規制や条件などを調査しています。
基本設計
役所等の調査結果とヒヤリングの内容を踏まえて基本プランが提示されました。家族の要望はほぼ反映されていましたが、実直さん独自の提案もありました。例えば、トイレはシズカさんの寝室の近くに設置することなどです。それには気付かなかったので「なるほど」と思いました。それでも気になることを提示して何度かプランの練り直しが行われ、頻繁に打ち合わせをしながら内容を詰めていきました。希望が反映できない場合は、できない理由やしないほうがいい理由について、実直さんから丁寧な説明があったので、広さんたちも納得して提案を受け入れることができました。
実施設計
家族全員が納得できた最後に提示されたプランで進めることに決まりましたが、いったいお金がいくらなのかが問題です。予算が○○万円なので、その範囲で建てられるのか実直さんに尋ねたところ、「予算内で納まるよう設計していますが、細かい仕様が決まった時点で確定した金額がわかります。つまり工事に必要な設計図面(実施設計)を全部そろえて、その内容の建物をいくらで建ててくれるか、工事業者に見積もりを依頼しますが、予算をオーバーした場合は、仕様変更を含めて内容を精査し、予算内に収まるよう調整しましょう」という返事でした。広さんたちは少し不安でしたが、実直さんを信頼して任せることにしました。
建築確認申請
実直さんは実施設計をするかたわら、役所に「建築確認申請書」を提出する手続きを進めています。また地盤調査をする必要があるので、木造住宅を建てる際に一般的に行われている「スウェーデン式サウンディング地盤調査」を敷地内で5箇所行いました。
施工業者決定
打合せを続けながら実施設計が進められ、ついに終了しました。施工を依頼する業者を決めなければなりません。そこで、シズカさんの知り合いの近所の大工さん、最近家を建てられたというご近所さんに紹介された工務店、それから実直さんがこれまでに手掛けた住宅を施工した建設会社のうちの1社が加わり、3社に見積を依頼しました。結果は、予算内に収まっていたのは1社のみ、他の2社は予算を超えていました。実直さんが3社の見積者の内容をチェックした結果、予算内で提示した業者の内容では、細かい内容が記載されていないため不安であること、予算を超えていた2社のうち1社は全体的に高額な見積もりになっていることなどから、一番適切と思われた誠実建設と価格交渉が行われました。寝室の壁仕上げの「漆喰塗り」を「漆喰風のクロス張り」に変更するなど、許せる範囲での仕様変更と誠実建設の努力により、何とか予算内に収めることができたので、誠実建設と「工事請負契約」を結びました。その間、役所に提出していた建築確認申請も通って、いよいよ工事着工です。
既存建物の除却・着工
シズカさんも広さんたちの住むマンションに引っ越しをし、思い出深かった建物ですが取り壊しが始まりました。敷地がきれいになったところで地鎮祭を行い、工事の無事を祈願しました。続いて縄張りが行われ建物の位置を確認します。現場監督の人好しさんが現場を取り仕切ってくれています。
基礎工事
地面が掘られ基礎工事が始まりました。鉄筋が並べられたところで、工事監理者である実直さんによる配筋検査が行われました。少し手直しの指摘があり、手直し後型枠が組まれ、コンクリートが流されます。固まるまでしばらくは現場の工事はストップです。
上棟
広さんとミナミさんの休日である日曜日が大安だったので、上棟はこの日に行うことになりました。朝から、基礎が固まるまでの間に加工された木材が現場に運び込まれ、土台、柱・梁等、構造材が順番に組みあがっていきます。朝早くから開始した作業は、夕方頃に屋根の一番高い部分である棟木が据付けられて、無事上棟となりました。おめでとうございます。
工事中
上棟後、工事が建築基準法などに適合しているかどうか、建築確認を許可した機関から検査員がやってきて中間検査が行われました。検査結果は合格。その後工事が進む過程で、必要に応じ実直さんによる確認とチェックが行われており、その状況は実直さんから逐一報告書として提出されています。浪花さんご一家も、可能な限り時間をつくって工事中の現場を訪れます。途中変更したいことがあったので工事監理者である実直さんに相談。実直さんもその方がいいとアドバイス下さり、人好しさんと可能かどうかを協議。追加には費用がかかるということなので見積もりを作成してもらいました。結果は、金額に関しての説明に納得できたので、追加料金を支払うことで変更することになりました。
竣工
工事も間もなく終わりに近づき、建築確認を許可した機関による竣工検査が行われます。検査は合格したので検査済証が交付されました。それとは別に工事監理者である実直さんと、建築主である浪花さんも検査を行います。傷や汚れなどの不具合や手直し箇所があれば指摘をし、最終的に全て問題無と確認したうえで家の鍵と必要書類を受け取ることで、マイホームが引き渡されたことになります。
新しい暮らし
浪花さん一家は無事に引っ越しを終えました。みんなで作業することができるくらいキッチンが広くなり、広さんや楽くんも手伝ってくれるようになりました。玄関から自分たちの部屋に行くには必ず居間を通らないといけないようになっているので、家族が自然と顔を合わせる機会が増えました。家族全員、この家でいつまでも楽しく暮らしていけることを願っています。そのためには定期的なメンテナンスを欠かさないようにしないといけませんね。